ムーンストーンの注意点とは?お手入れ方法や選び方を詳しく解説

ムーンストーンは、まるで月明かりのような神秘的な輝きが魅力の宝石です。6月の誕生石であり、愛や幸運にまつわるポジティブな意味も持っていて、古くから多くの方に愛されています。

これからムーンストーンを購入する場合、「使用や保管で注意する点はあるのだろうか」「どのようにお手入れをすれば良いのだろう」と不安や悩みを感じる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、ムーンストーンの注意点とお手入れ方法を解説します。ムーンストーンジュエリーの選び方やムーンストーン以外の6月の誕生石も介しているので、ぜひ参考にしてください。

・目次


ムーンストーンとは

ムーンストーン(Moonstone)は、日本語で月長石(げっちょうせき)と呼ばれる宝石です。長石類の「正長石(Orthoclase)」の一種にあたります。フェルドスパー(長石)に見られる光の散乱や屈折が特徴で、光が浮かび上がるような様子が月の光をイメージさせることから、ムーンストーン(月の石)と名付けられました。

ムーンストーンは、「オーソクレース」と「アルバイト」の2つの長石で構成される宝石です。オーソクレースとアルバイトは、それぞれ厚さや規則性が異なります。ムーンストーンの内部に光が入ると、各層で光が散乱して、アデュラレッセンス(青色閃光)と呼ばれる美しい発光が見られます。

ムーンストーンのカラーバリエーションは様々で、無色や乳白色、淡い緑色などがあります。キャッツアイと呼ばれる猫の目のような光が見られる石もあります。

ムーンストーンは6月の誕生石で、愛や幸運、癒しの意味を持ちます。中世ヨーロッパでは、恋人たちが互いにムーンストーンを贈り合う習慣があり、現在でも「恋人の石」として知られています。月の力が宿ると考えられていて、満月の夜にムーンストーンを口に含むと未来を見通せると信じられていたそうです。


ムーンストーンの注意点

ムーンストーンは、光に照らされて美しく輝く宝石です。宝石の持つ輝きを末永く保つために、取扱には注意しましょう。ムーンストーンを取扱う時の注意点は次のとおりです。

  • 摩擦に注意する
  • 強い衝撃を与えない
  • 急激な温度変化を避ける
  • 超音波洗浄機を使用しない

各注意点について、以下で詳しく解説します。

摩擦に注意する

宝石や鉱物などの硬さを示す指標のひとつに、「モース硬度」があります。ある鉱物を別の鉱物で引っかいた場合に、どれだけ傷がつくかを相対的に示しています。

各宝石や鉱物のモース硬度は次のとおりです。

 モース硬度

 鉱物・宝石の名称

 硬度1

 タルク(滑石)

 硬度2

 ジプサム(石膏)

 硬度3

 カルサイト(方解石)

 硬度4

 フローライト(蛍石)

 硬度5

 アパタイト、黒曜石

 硬度6

 ムーンストーン、オパール

 硬度7

 クオーツ(水晶)、トルマリン

 硬度8

 トパーズ、スピネル

 硬度9

 コランダム(ルビー、サファイア)

 硬度10

 ダイヤモンド

モース硬度は1~10の段階に分類されていて、硬度が10に近づくほど、他の鉱物と摩擦が起きても傷がつきにくくなります。

ムーンストーンのモース硬度は6~6.5ほどです。摩擦にはあまり強くないため、使用する場合は傷がつかないように注意しましょう。

保管する際は、できるだけ他のジュエリーと一緒にしないように注意しましょう。

また、日常生活で傷つきにくいとされるモース硬度は7以上といわれています。そのため、ジュエリーとして楽しむ場合は、ネックレスやピアスがおすすめです。リングであれば、利き手と反対の手につけるなど工夫すると良いでしょう。

強い衝撃を与えない

ムーンストーンには2方向に劈開(へきかい)があることがわかっており、強い衝撃を与えると割れてしまう可能性があるため注意が必要です。

劈開とは、特定の方向に割れやすい性質のことです。劈開はムーンストーンだけに見られる性質ではなく、輝石には2方向の劈開が、フローライト(蛍石)には4方向の劈開があります。鉱物のなかには特定の方向の原子の結合力が弱いものがあり、その方向に衝撃が加わると割れやすくなっているわけです。

大切な宝石の損傷を防ぐため、運動する時、重たいものを持ち運ぶ時など強い衝撃がかかる可能性がある場合は、事前に外すと良いでしょう。

なお、上記の衝撃に対する割れやすさは「靭性(じんせい)」と呼ばれます。宝石の傷つきやすさは「硬度」、割れやすさは「靭性」が示すと覚えておくと、宝石を扱う時に役立ちます。

急激な温度変化を避ける

ムーンストーンは、急激な温度変化に弱いため注意しましょう。

宝石は温度や湿度、光や化学製品に対して異なる性質を持っており、各刺激に対する耐久性を「安定性」と呼びます。ムーンストーンは、光に対する安定性は比較的高い宝石です。

しかし、ムーンストーンは熱に対する安定性があまり高くありません。急激な温度変化の状況におかれると熱衝撃が加わり、割れてしまうことがあるため、注意しましょう。

超音波洗浄機を使用しない

ムーンストーンを洗浄する際に、超音波洗浄機の使用はできるだけ避けましょう。

超音波洗浄機は、音波の振動で気泡を発生させ、その気泡が破裂した時の衝撃で汚れを落とす機器です。以前は工業用で使用されていましたが、近年では家庭用の超音波洗浄機も販売されており、メガネやジュエリー、腕時計の金属ベルトや化粧道具の洗浄に使われています。

超音波洗浄機は細かな隙間の汚れも短時間で落としてくれる便利な機器です。ただし、ムーンストーンは硬度や靭性があまり高くありません。超音波洗浄機を使用するとジュエリーや宝石の状態によっては割れてしまう危険性があるため、使用しないでください。

その他、強い熱が加わる可能性のあるスチームクリーナーの使用も推奨できません。


ムーンストーンのお手入れ方法

それでは、ムーンストーンをきれいに保つためにはどのようなお手入れをすれば良いのでしょうか。ここでは、普段の場合と汚れが気になる場合に分けて、ムーンストーンのお手入れ方法を解説します。

普段のお手入れ方法

ムーンストーンのジュエリーを着けた後は、柔らかくてきれいな布で、やさしく拭いてあげましょう。こまめに拭くことで、ムーンストーンの輝きを保ちやすくなります。

ムーンストーンは皮膚や汗、化粧品などがつくと本来の美しい輝きが隠れてくすんで見えてしまいます。ムーンストーンのジュエリーを着用する時は、「最後に着けて最初に外す」を意識すると、より美しく使用できます。

汚れが気になる場合のお手入れ方法

ムーンストーンの汚れが気になる場合は、セルフクリーニングを行いましょう。ご家庭でも、次の手順で汚れを落とせます。

  1. ぬるめのお湯に中性洗剤や石鹸を溶かす
  2. ムーンストーンをお湯に入れて、柔らかいブラシで軽くこする
  3. ムーンストーンをよくすすぐ
  4. 乾いた布で水分を拭き取る

お湯の温度はぬるま湯程度の温度がおすすめです。なお、塩素系洗剤は使わないように注意しましょう。除光液やフッ酸が含まれた洗浄液で洗う方法も避けてください。


ムーンストーンジュエリーの選び方

ムーンストーンを使用したジュエリーは、多種多様な種類が提供されています。「どのムーンストーンを選べば良いだろう」と迷った時は、次のポイントを基準に選びましょう。

  • 透明度で選ぶ
  • シラー(アデュラレッセンス)で選ぶ
  • カットやデザインで選ぶ
  • コーディネートで選ぶ

ムーンストーンは、透明度が高い石ほど良質とされます。インクルージョン(宝石の内包物)が多いと、特徴的な美しい青色の光が妨げられてしまうため、石の透明度は大切なチェックポイントです。

また、ムーンストーンは入射した光の反射で起こる「シラー」または「アデュラレッセンス」が特徴です。月光のような輝きを重視したい方は、シラーの様子も確認しましょう。

その他、ムーンストーンはカットやデザインで異なる輝きを放ちます。ムーンストーンのカットは楕円形のカボションカットが一般的ですが、多面体にカットされたファセットカットも見られるようになりました。ご自身のコーディネートに馴染むカットやデザインも、ムーンストーンを選ぶ時に重要です。欠けがないかどうかも確認しておくと良いでしょう。


おすすめのムーンストーンジュエリー

ムーンストーンを使用したジュエリーは、ピアスやネックレス、リングなど様々です。以下では、おすすめのムーンストーンジュエリーを紹介します。

耳元を上品に彩るムーンストーンのピアス

神秘的で柔らかなカラーの多いムーンストーンは、耳元につけると顔周りを上品に彩ってくれます。

例えば、ミルキーカラーのムーンストーンに肌に馴染みやすいゴールド系の素材をあしらったピアスをつけると、優しい落ち着いた印象を演出できます。様々な髪色やコーディネートに合わせやすい点もメリットです。

その他、一粒タイプのシンプルなデザインもおすすめです。耳元にちょっとしたアクセントがほしい時に適しており、デイリー使いだけでなく様々な場面に応用できます。

大人っぽい雰囲気を演出するムーンストーンのネックレス

ムーンストーンはボディカラーが無色透明でブルーの光沢のあるタイプが有名ですが、グリーンやイエロー、グレー、ブラウンなど、カラーバリエーションが豊富です。

例えば、ボディカラーがグレーのネックレスをつけると、シックで大人っぽい雰囲気を演出でき、コーディネートの引き締め役になってくれます。

リングはシークレットストーンへのアレンジもおすすめ

ムーンストーンは6月の誕生石で、「愛の予感」「健康」「幸福」の石言葉があるといわれています。6月生まれの方は、婚約指輪や結婚指輪に入れたいと考える方もいるでしょう。

リングにムーンストーンを使用する場合、硬度や靭性があまり高くないことから、結婚指輪など日常的に身に着けるジュエリーへの使用は傷や損傷が気になってしまうかもしれません。そのような時に、リングの内側に宝石を入れるシークレットストーンへのアレンジはおすすめです。

シークレットストーンにムーンストーンをアレンジすると、傷や損傷を気にすることも少なくなります。宝石に2人の想いを込めて、お守りとして使用するのも良いでしょう。


ムーンストーン以外の6月の誕生石

6月の誕生石は、ムーンストーン以外に真珠とアレキサンドライトの2つがあります。それぞれの魅力を紹介しますので、6月の誕生石ジュエリーを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

真珠

普段使いとして定番の真珠は、実は6月の誕生石です。真珠は世界各地の海や河川で採取されてきた宝石で、多くの女性に愛されてきました。純粋、謙虚、純潔を連想させ、伝統的に結婚のお祝いとして贈られてきた宝石です。

フォーマルにもカジュアルにも合わせやすく、幅広いシーンにおすすめです。日本では結婚30周年を「真珠婚式」と呼ぶこともあり、結婚30周年の記念に真珠を使ったジュエリーが贈られる場合もあります。

アレキサンドライト

アレキサンドライトは、日本の6月の誕生石として2021年に新たに追加された宝石です。日の光がある場所では「深い緑色」、白熱光のある場所では「深い赤紫色」に輝く二面性を持ちます。

アレキサンドライトは人によって高貴、情熱、誕生、光栄など様々な意味を持つとされます。耐久性に優れているため、毎日身につける指輪やジュエリーに適した宝石です。


TJFESで自分だけのジュエリーに出会おう

ムーンストーンをはじめ、ご自身に合ったジュエリーを購入したい方は、ぜひ「TOKYO JEWELRY FES(TJFES)」にご来場ください。

TJFESは、ネックレスやリングなどの多彩なジュエリーが出展される展示会です。ムーンストーンはもちろん、ダイヤモンドやルビー、サファイアなど、様々な宝石を使用したジュエリーが一堂に出展されます。

TJFESは、デイリー使いから一生ものまでほしいが見つかる「ジュエリーFES」、個性が光るオリジナルジュエリーに出会える「クリエイターFES」、世界中の天然石・希少石・ルースが出展される「ミネラル&ストーンFES」の3つのジャンルで構成されています。

幅広いデザインや価格帯のジュエリーを選びたい方、たくさんのジュエリーに触れたい方、メーカーやクリエイターから直接購入したい方におすすめの展示会です。オリジナルジュエリーの作成に関するワークショップも開催されます。

TJFESは、以下の日程で開催されます。

 開催場所

 日程

 東京ビッグサイト 西展示棟3・4ホール

 2025年8月1日(金)~3日(日)


TJFESの詳細は、こちらからご確認ください


◆展示会概要◆

TOKYO JEWELRY FES

あらゆるジュエリーや素材が一堂に集結する大規模なジュエリーの祭典!ジュエリー好きの『見たい』『買いたい』『作りたい』が叶う場所をコンセプトに、
ジュエリーFES クリエイターFES ミネラル&ストーンFES
の3つのFESで構成されています。

本展の詳細はこちら↓
公式ホームページ: https://www.jewelry-fes.jp/tokyo/ja-jp.html?co=blog


【監修者】

長村由起子

【プロフィール】
ジュエリー専門ライター・編集者
ジャパンジュエリービジネススクールを卒業後、神戸のカラーストーン卸会社に8年間勤める。
その間、店舗・催事販売、リフォーム、仕入れ、買取業務、自社ブランドの立ち上げ、社員研修講師役まで様々な業務に従事。
現在はジュエリー専門ライター・編集者として活動中。国内外のジュエリー会社のコーポレートサイトやブログを執筆・編集しています。

個人ホームページ「ジュエリーのプロが教える宝石のいろは」https://japan-jeweler.com/

【取得資格】
JBS宝石ジュエリー鑑別鑑定士( JBS Graduated Jeweler)
ジュエリーコーディネーター2級
ジュエリーリモデルカウンセラー2級
博物館学芸員