シルバーアクセサリー黒ずみの落とし方5選!変色を防ぐお手入れ方法も解説
しまっていたシルバーアクセサリーを使おうとしたら、黒ずみができているケースは少なくありません。シルバーアクセサリーの変色は一般的な現象ですが、お気に入りのジュエリーをいつまでも美しく保ちたいと考える方も多いでしょう。
この記事では、シルバーアクセサリーの変色を落とす方法から、長く使うための手入れや保管のコツまで、詳しく解説します。あなたのシルバーアクセサリーを再び輝かせ、末永く楽しむためのヒントにしてください。
・目次
シルバーアクセサリーの種類
シルバーアクセサリーは、「銀の含有率」で種類が分かれます。
本来、純銀はやわらかくて耐久性が低く、ジュエリーの加工には不向きです。そのため、銅や他の金属を混ぜて合金にして、強度と耐久性を上げています。
特にアクセサリーで使用されることが多いものがスターリングシルバー(Sterling Silver)と呼ばれる合金です。また、銀でメッキ加工を施す銀メッキ(シルバープレート)などがあります。
シルバーアクセサリーを適切な方法でお手入れするには、購入時にそれが銀製品か、それとも銀メッキの製品か確認する必要があります。
ここでは、それぞれの見分け方を詳しく解説していきます。
また、厳密にはジュエリーではありませんが、サージカルステンレスを使用したアクセサリーも紹介します。
スターリングシルバー
スターリングシルバー(Sterling Silver)の語源は12世紀にコインの品質を厳格に保って取引を行っていたドイツの取引業者「Easterling」が由来とされるなど、諸説あります。純銀(純度99.9%以上)ではなく、銀の含有率が92.5%、銅や他の金属の含有率が7.5%の銀合金です。
ジュエリーショップで見かけるシルバーアクセサリーにも多く使われています。スターリングシルバーを使ったジュエリーには「Silver925」、「SV925」、「S925」など、シルバーの含有量がわかるように刻印されています。ジュエリーショップで購入する際に確認してみてください。
銀メッキ
銀メッキ(シルバープレート)は、表面の塗装にのみ銀が含まれており、基材は銅や鉄など他の金属で作られています。
銀メッキの製品には、「SILVER E.P.」、「G. SILVER」、「SILVER F」などと刻印されています。
銀メッキの製品は通常内部に銀を含まないため、一般的なシルバーアクセサリーの黒ずみの落とし方を実行すると、傷みが進んでしまうケースがあるため注意が必要です。
サージカルステンレス
サージカルステンレスは、金属アレルギーを起こしにくく、医療用器具に用いられるステンレス素材です。
錆びにくい特徴があり、体に優しく取り扱いやすいことから、近年ではアクセサリーの素材にも用いられています。
宝石や貴金属を加工したジュエリーとは異なるカテゴリーですが、金属アレルギーの方でも安心して身につけられる装飾品として人気が高まっています。
シルバーアクセサリーの黒ずみの原因
シルバーアクセサリーは、適切なお手入れを怠ると黒ずんでしまいますが、銀は錆びにくい金属です。黒ずみの多くは「硫化」、もしくは「塩化」による化学反応が原因です。
硫化(りゅうか)
シルバーアクセサリーが黒ずむ主な原因は、硫黄や硫化水素が銀と結びつくことによって起きる硫化反応によるものです。硫化反応が起こると、表面が黒く変色してしまいます。
硫黄は空気中にも少量含まれており、長期間放置されたシルバーアクセサリーは黒ずむ傾向にあります。
汗や皮脂が付着したままにしてしまうと黒ずみの原因となります。硫化反応は表面に限るため、正しいお手入れを行えば、元の美しい状態に戻せます。
なお、硫化の性質を利用して、意図的に立体感や深みを出している「いぶし加工」が施されたシルバーアクセサリーもあります。
塩化(えんか)
硫化よりも発生頻度は低いですが、銀と塩素が反応してシルバーアクセサリーの表面が黒く変色するケースがあります。これは塩化反応といい、塩素系漂白剤や海水、プールの水などに触れることで起こることがあります。
塩化による黒ずみは硫化よりも落としにくいため、塩素系漂白剤を使用する際はアクセサリーを外すようにしましょう。
シルバーアクセサリーの黒ずみ(硫化銀)の落とし方
シルバーアクセサリーが変色してしまった場合は、家にあるものを利用して落とせます。この章では、黒ずみを落とす5つの方法をご紹介します。デザインとしていぶし加工がされていないものには、ぜひ試してみてください。
その1:重曹を使う方法
重曹を使う場合は、直接こすりつけて磨く方法と、アルミホイルを組みあわせて化学反応を利用して落とす方法があります。
直接磨く時は、重曹を少量の水に溶かし、柔らかい布に付けて優しく磨きましょう。
ただし、宝石が付いているものはその部分を避けて磨くようにしてください。
アルミホイルを組み合わせる方法は硫化銀の還元反応を利用する方法で、アルミホイル、重曹、耐熱容器、熱湯を使って簡単に行えます。
<重曹とアルミホイルを組みあわせて黒ずみを落とす手順>
1. コップなどの耐熱容器にアルミホイルを敷く
2. シルバーアクセサリーを入れ、重曹を大さじ1程度まぶす
3. アクセサリーが浸かる程度の熱湯を注ぐ
4. シルバーアクセサリーを取り出して水で洗い、柔らかい布で水分を拭き取る
その2:塩とアルミホイルを使う方法
重曹が手元にない場合は、塩でも代用可能です。ただし、一部のシルバーアクセサリーは塩分に弱い金具が使われていることがあり、注意が必要です。黒ずみを取り除いた後は、隅々までしっかりと水で洗い流してください。
<塩とアルミホイルを組みあわせて黒ずみを落とす手順>
1. コップなどの耐熱容器にアルミホイルを敷く
2. シルバーアクセサリーと塩(スプーン1杯程度)を入れる
3. アクセサリーが浸かる程度の熱湯を注ぐ
4. シルバーアクセサリーを取り出して水で洗い、柔らかい布で水分を拭き取る
その3:クエン酸とアルミホイルを使う方法
クエン酸は、シルバーアクセサリーの専用クリーナーにも使われている成分です。塩の場合と同様に、アルミホイルを組みあわせて活用できます。
一般的に、クエン酸を用いた専用クリーナーは、硫酸を用いたクリーナーより効果は控えめです。クエン酸とアルミホイルで代用する場合もそれほど大きな効果は期待できませんが、お掃除用のクエン酸が余っている時は、試してみるとよいかもしれません。
<クエン酸とアルミホイルを組みあわせて黒ずみを落とす手順>
1. コップなどの耐熱容器にアルミホイルを敷く
2. シルバーアクセサリーとクエン酸(スプーン1杯程度)を入れる
3. アクセサリーが浸かる程度の熱湯を注ぐ
4. 10分程度放置する
5. シルバーアクセサリーを取り出して水で洗い、柔らかい布で水分を拭き取る
その4:歯磨き粉を使う方法
歯磨き粉もシルバーアクセサリーの黒ずみを落とす有効な方法ですが、やや注意が必要です。歯磨き粉に含まれる研磨剤で擦って落とす性質上、シルバーアクセサリーの表面を傷つけて、劣化を速めてしまう可能性があります。
なるべく別の方法がおすすめですが、どうしても歯磨き粉を使いたい場合は粒があるものを避け、傷が付いてもかまわない別のアクセサリーでテストしてから試してみてください。
<歯磨き粉を使って黒ずみを落とす方法>
1. シルバーアクセサリーに直接、少量の歯磨き粉を付ける
2. 指や柔らかい布を使って磨く
3. シルバーアクセサリーを水で洗い流し、水分をしっかり拭き取る
その5:専用クリーナーを使う方法
重曹や塩を使った落とし方は、硫化反応を利用したいぶし加工まで落としてしまうため、注意が必要です。
加工されている可能性があるものは、専用クリーナー(シルバークリーナー)を使う方法がおすすめです。他の方法と比べるとやや費用はかかりますが、安心して利用できます。
専用クリーナーは、クロスタイプでそのまま拭けるものや、クリームタイプがあります。クリームタイプの場合は柔らかい布に付けて、気になる部分を磨きましょう。
シルバーアクセサリーの保管・お手入れ方法
シルバーアクセサリーは、大気中で徐々に変色してしまいますが、適切なお手入れと保管で美しさを長持ちさせることができます。
シルバーアクセサリーの保管・お手入れ方法をご紹介します。
使用後は汗や皮脂を拭き取る
シルバーアクセサリーの使用後は、アクセサリー用のクロスやメガネ拭きなど、柔らかい布でこまめに拭き取りましょう。汗や皮脂が付着すると、硫化が進みやすくなり、黒ずみの原因となります。
硫黄や塩素を避ける
硫黄や塩素はシルバーアクセサリーの変色を進めてしまうため、温泉やプールに入る際はアクセサリーを外すことが大切です。これらの化学物質が銀と反応し、黒ずみを引き起こすことがあります。
適切な保管方法
使用しない時は、シルバーアクセサリーを密封できる袋や箱に保管すると良いでしょう。湿気や空気に触れないようにすると、酸化を防ぐことができます。
定期的なクリーニング
使わずに保管している場合も、定期的にお手入れしましょう。軽い汚れや黒ずみは、専用クリーナーで簡単に取り除けます。
化学製品との接触を避ける
化粧品や香水などの化学製品が銀に触れると、変色を引き起こす可能性があります。これらを使用する前に、シルバーアクセサリーを外すか、使用後にすぐに拭き取ると良いでしょう。
TJFESでお気に入りのシルバーアクセサリーを見つけよう
シルバーアクセサリーがお好きな方や、ジュエリーに興味がある方は、2025年8月1日(金)~3日(日)に開催される「TOKYO JEWELRY FES (TJFES)」にぜひお越しください。シルバーアクセサリーをはじめとする多彩なジュエリーや素材が一堂に展示されます。
ジュエリーFES、クリエイターFES、ミネラル&ストーンFESの3つのFESで構成されており、たくさんのジュエリーを目で見て楽しんだり、購入したり、オリジナルジュエリーを作ったりできます。
TJFESのクリエイターFESの出展商品のなかには、金属アレルギー対応のサージカルステンレスを使用したシルバージュエリーもあります。
日本最大級のジュエリーの祭典であるため、お目当てのアクセサリーやジュエリーに出会えることも、意外な発見を得られることもあるでしょう。
TJFESは年1回開催され、どなたでもご来場いただけます。開催のスケジュールは次のとおりです。
開催場所 |
日程 |
東京ビッグサイト 西展示棟3・4ホール |
2025年8月1日(金)~3日(日) |
TJFESの来場をご検討の方は、以下のリンクで詳細をご確認ください。
「TOKYO JEWELRY FES」の詳細はこちら
【監修者】
長村由起子
【プロフィール】
ジュエリー専門ライター・編集者
ジャパンジュエリービジネススクールを卒業後、神戸のカラーストーン卸会社に8年間勤める。
その間、店舗・催事販売、リフォーム、仕入れ、買取業務、自社ブランドの立ち上げ、社員研修講師役まで様々な業務に従事。
現在はジュエリー専門ライター・編集者として活動中。国内外のジュエリー会社のコーポレートサイトやブログを執筆・編集しています。
個人ホームページ「ジュエリーのプロが教える宝石のいろは」https://japan-jeweler.com/
【取得資格】
JBS宝石ジュエリー鑑別鑑定士( JBS Graduated Jeweler)
ジュエリーコーディネーター2級
ジュエリーリモデルカウンセラー2級
博物館学芸員